Coleopterological Society of Japan

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コレステリック甲虫

日本甲虫学会 会長 野村周平

 甲虫学会会員の皆さん、明けましておめでとうございます。新年が皆様とご家族にとって、最良の年となるよう願っております。おそれながら私の方は、当学会第4期(2017-2018)の会長を仰せつかることになりました。昨年、一昨年に引き続きまして、お引き立ていただきますよう、心からお願い申し上げます。

 前回のあいさつで取り上げた、東京港野鳥公園で発生しているリュウキュウツヤハナムグリについて、さらに面白いことがわかりました。挨拶文にのせるための写真を撮影していたところ、この種が非常に顕著な「コレステリック甲虫」であることがわかったのです。コガネムシの中には特異な偏光特性をそなえているものがあります。これは右と左の円偏光フィルターをかけて比較してみるとたちどころにわかります。自然光の下では、リュウキュウツヤハナムグリの3つの色彩型とアオカナブンは、図左のように見えます。左円偏光フィルターをかけてみると、リュウキュウツヤハナムグリの上の2型は、色彩が強調されて見えます。一方アオカナブンは真っ黒に見えます(図中)。これを同じ条件で右円偏光フィルターに取り換えてみると、何ということか!リュウキュウツヤハナムグリの3型はどれも真っ黒に見えてしまって、まるで見分けがつきません(図右)。アオカナブンの方は左と同じ真っ黒です。リュウキュウツヤハナムグリのように、円偏光フィルターの右と左で違う見え方をするものは、身体の表面に「コレステリック液晶」と呼ばれる物質をそなえていて、特定の向きの偏光だけを反射する特性があります。これを仮に「コレステリック昆虫」と呼びましょう。一方、アオカナブンのように、偏光フィルターの右と左で見え方が変わらないものは、「非コレステリック昆虫」ということになります。同じハナムグリの仲間でありながら、ここまで偏光特性の異なる例はきわめて興味深いものです。

リュウキュウツヤハナムグリの3型とアオカナブン(右下)の色彩比較。
左:自然光;中:円偏光フィルター左をかけて撮影;右:円偏光フィルター右をかけて撮影.