新会長挨拶
日本甲虫学会会長 久保田耕平
このたび第7期、2023-2024年度の日本甲虫学会会長を拝命いたしました久保田耕平です。このような大役を仰せつかることとなり、身の引き締まる思いです。 <2023年1月26日掲載>
まず始めに、簡単な自己紹介をいたします。私は子供の頃からチョウや甲虫といった昆虫が好きで、大学ではオサムシの生態に関する研究で卒業論文を書きました。卒業後は地元三重県の公立中学校、公立高校で計13年間、教諭として働いた経験があります。この間は学会というよりは、地元の昆虫同好会を中心に、アマチュアの昆虫研究者として活動していました。その後は縁あって大学の教員となり、現在に至るまで28年近く、プロの研究者として過ごしています。日本甲虫学会は多くのプロの研究者とアマチュアの研究者、愛好家が、共に甲虫学の発展のために力を尽くしてきた団体です。奇しくも私はその両方の立場でそれぞれ長く活動してきた経験があるわけです。
さて、現在甲虫のみならず、昆虫研究は数々の問題に直面しています。昆虫採集の規制強化、ABS問題、気候変動や外来種による昆虫相の急激な変化等、年々注意を払うべき事柄が増えています。そして、何より昆虫に関わる多くの学会・団体では、年々会員数が減少しているという現実があります。幸いにして本学会ではまだ目立った会員数の減少は見られませんが、次代を担う若い世代の育成は喫緊の課題の一つです。もちろんベテランの方々のお力はまだまだ必要ですが、一方で今後の学会運営には若い力を取り込みつつ、次世代の育成に積極的に取り組んでいきたいと思っています。
また3年に亘った新型コロナ感染症による行動規制は、学会のあり方にも大きな変化をもたらしました。大会をはじめ、様々な会合がオンラインになり、遠方からでも旅費なしで瞬間移動して参加できるというよい面もあったように思います。しかし、やはり顔と顔を突き合わせ、議論し、語り合うことの素晴らしさをあらためて思う3年間でもありました。おそらく今年あたりからは、大会や例会も対面の機会が復活してゆくのではないかと期待しています。皆様と直接お会いする日を楽しみにしつつ、会長就任の挨拶とさせていただきたいと思います。皆様、これからの2年間、どうかよろしくお願いいたします。
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